ドリルを買う人が欲しいのは「穴」である
読んだ本のご紹介
会社でマーケティング担当をしている方、いやそうでなくても、営業部門の方、販売部門の方にまでよく知られている言葉に、
「ドリルを買う人が欲しいのは『穴』である」
という言葉がありますよね。
私もマーケティング担当時代から、今でもこの言葉はいつも気にしています。
みなさんも一度くらいは聞いたことがあるのではないでしょうか?
なんだかこのトンチのようなこの言葉。
じわじわと理解がすすむと、なんだそういうことか!とすっきりした気分にもなれますよね。(私自身がそうでした!)
マーケターにとっては、基本の基本
とても大切な格言であり、
消費者視点の大切な概念です。
いつもこの言葉を忘れないように徹底的に肝に銘じておきたい言葉の1つです。
この言葉はそもそもは、レオ・マックギブナという方の
昨年、4分の1インチ・ドリルが100万個売れたが、これは人びとが4分の1インチ・ドリルを欲したからでなく、4分の1インチの穴を欲したからである
という言葉を、1968年に出版されたアメリカのマーケティング学者「セオドア・レビット(Theodore Levitt)」の著書「マーケティング発想法」で「ドリルを買う人が欲しいのは「穴」である」として紹介したものなんだそうです。
ドリルを買いに来たお客様が求めているのは、「なんらかの方法で穴をあけたい」のであって、もしかしたら、ほかに方法があればドリルでなくてもいいのかもしれません。
とにかく、何か理由があって、穴をあけたいのです。
もし、私自身がホームセンターの工具売り場担当だったとして、
たくさんのドリルが並んでいる売り場で商品を探しているお客様を見かけたとき
どのような接客をするかをよく考えました。
一人 ロープレ
一人ロールプレイングです。よく妄想したものです。
この人は今ドリルを探していたのだから、ドリルを紹介してあげよう!
そして、売れ筋のドリルを順番に紹介したらいいか?
いやいや、今日の朝の朝礼で、店長に言われた「在庫のあまっているA社のドリルを早めに売り切るように」という言葉に惑わされて、A社のドリルのすばらしさを力説しようか?
いや、そういえば、B社のドリルメーカーからはキックバックのプロモーションの企画があったな。よし、B社のドリルが売れるように説明をしようか?
そんな妄想をしながら、血迷った自分の考えを落ち着かせ、自問自答の結果、消費者目線へもどるようにしていました。
みなさまご存知のように、すでにホームセンターなどの量販店にはさまざまなマーケティングの仕掛けがあります。消費者はそんなたくさんの情報に惑わされ、正確に商品を選べなくなっています。
そんな中で「売れ続けるお店」「お客様から愛されるお店」で長くあり続けるためには、お客様の要望を正確に理解し、その「解(ソリューション)」を提供してあげることが大切ですよね。
まずお客様とお話をしましょう。対話が大切ですね。
お客様に様々な質問をしましょう
お客様の会話の中から、お客様の抱える問題を導きだし
その解を提供してあげる。
これそ、信頼される接客ですよね。
お客様は
DIYで、何か家の改築をしているのか?
何か棚やテーブルか何かを作っているのか?
もしくはコンクリートに穴をあけようとしているのか?
鉄板か?
さまざまな目的によって、ドリルも刃先も異なります。
使う頻度も。
一度あければもう必要ないか、
継続的に仕事で穴をあける必要があるのか?
また、例えばTVで話題のヒロミさんのように、これまでにDIYをずっとしているのか?
今回初めてなのか?
聞かないといけないことはたくさんあります。
接客の現場においては、こういった1から100の質問をできないということもあるでしょう。
お客様の多くは忙しく、また無知な場合もあります。
細かいことはお客様ご自身でもわかっていないこともあります。
だからこそ、あなたの売り場担当としてのその知識を、少ない言葉から最適な解を導きだすために使わないといけません。
初心者の人に、有名なドリルの素晴らしいスペックの数々を話しても理解はしてもらえないし、お客様には、たいくつな話に聞こえてしまいますよね。
長く話せるともちろんいいのですが、時間がないなら、あなたが導きつつも、現状を聞き出し提案をして差し上げましょう。
本質的な心の中にある消費者のニーズを見つけると、もしかしたら、お客様が探しているものは別のものだったということもあるでしょう。
お客様が求めているのは、あなたが売りたいものではなく、
結果、成し遂げることができるその目的そのものであることを忘れないように!
以上、いつも原点に立ち返る心の叫びでした。
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